最高裁判所第三小法廷 昭和42年(オ)1191号 判決 1968年7月16日
主文
本件上告および附帯上告を棄却する。
上告費用は上告人の、附帯上告費用は附帯上告人の、各負担とする。
理由
上告代理人鈴木富七郎の上告理由について。
所論指摘の事実関係に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らしてこれを肯認することができ、右認定判断の過程に所論の違法は存しない。そして、原審の確定した事実関係のもとにおいては、本件損害賠償請求について、本件慰藉料五〇万円およびこれに対する遅延損害金の請求部分のみを認容し、その余の部分を排斥した原審の判断は、正当と認められる。原判決には、所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するか、原審の認定にそわない事実または独自の見解を前提として原判決を攻撃するものであつて、採用することができない。
附帯上告代理人大石力の上告理由について。
医師Aに過失があるとした原審の判断は、その前提となる事実の認定とともに、正当として是認することができ、右認定判断の過程に所論の採証法則の違背は存しない。原判決には、所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎 裁判官 松本正雄 裁判官 飯村義美)